アスベストとは
アスベストとは、石綿とも呼ばれる天然の鉱石で無機繊維状鉱物の総称です。以前は安価でありながらも、耐久性や耐熱性などに非常に優れているため、建築資材として多く使われていました。しかし、現在は石綿繊維を大量に吸った場合、人体に悪影響を与えることが判明したため、段階的に使用が制限され2006年に全面使用禁止となっています。
具体的に、アスベストを大量に吸った際のリスクとして、肺がんや悪性中皮種などの病気を引き起こす恐れがあるという点が挙げられます。アスベスト繊維は細くて軽いた為に空気中に浮遊しやすく、吸入されて人の肺に入ってしまうと15~40年程の長い潜伏期間を経て、ガンなどの病気を引き起こすリスクが高まるのです。
宅地建物取引業者は、賃貸借契約の前の重要事項説明時に、賃貸借する建物についてアスベストの使用調査を行ったかどうかを借主に伝える義務があります。ちなみに、重要事項説明書とは、借主や買主を守るための書面であり、借主や買主が誤った判断で契約することを防止する為のものです。この中に、石綿使用調査結果記録の有無についての記載もあり、石綿の使用の有無の調査結果が記録されている場合は、その内容を取引先相手に書面で説明する義務があります。国土交通省は石綿には健康被害があるとの通達を出していますが、賃貸物件の貸主は、所有する物件に石綿が使用されているかを必ず確認しなければならないわけではありません。賃貸物件の契約上、石綿の使用の調査が行われたかどうかについて、その内容を告知する義務はありますが、調査の実施や石綿の除去対応などの義務は負っていないのです。
石綿使用調査実施の有無に限らず、石綿が使われているからといって、必ずしも危険が差し迫っているというわけではありません。安心した毎日が送れるよう、お部屋を契約される際は石綿使用調査実施の有無をきちんと確認しておきましょう。